東京高等裁判所 昭和27年(う)1363号 判決
しかし、刑法第九十五条第一項の公務執行妨害罪にいう暴行は当該公務員に、直接加えられると、間接に加えられるとを問わないものと解せられるが、原判決は、井上菊雄、谷津巖両大蔵事務官が被告人古井貫寛方居宅において滞納処分のため差押に着手しようとし、又奥村鉱太郎、山田辰夫、吉竹博信の三大蔵事務官が、井上、谷津両事務官の右職務の執行を応援するため、相次いで被告人古井方居宅内に入り又は入ろうとしたところ、被告人等が井上事務官等を被告人古井方居宅から押し出してしまおうと暗黙のうちに意を通じ、一団となつて力を合せるという態勢で、奥村、山田、井上の三事務官をこもごも押したり、ついたりして押し出し、因つて右三事務官に直接暴行を加えるとともに、これによつて間接に谷津、吉竹の両事務官にも暴行を加え、以つて、結局以上の五事務官に暴行を加えて右五事務官が共同して実行しようとしていた公務の執行を妨害した事実を認定したものと認められ、公務執行妨害罪の判示として欠けるところはなく、又理由にくいちがいもないから、論旨は理由がない。
(註 本件は量刑不当により一部破棄自判)